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血と智




以前に差し入れした鹿肉を食べて下さった方より、

「健全な血となり肉となるものをいただいたので

 心の智となり支えとなる本をお返しします」

と、本をいただいた。



「アフガニスタンの診療所から」

医師の中村晢氏が記した本。

アフガニスタンやパキスタンで

癩病の撲滅に心血を注ぎ、

昨年アフガニスタンで射殺された。



中東情勢には興味がありながらも

あまり深入りしてこなかった世界だ。

世界60ヶ国以上を旅してきた私だが

中東を旅したことはなく、

ドバイで何度かトランジットしたのみ。

イスラムの考え方にもあまり共感できず、

自分の中で一定の距離を置いてきた。



ページを繰るたびに

中東であってもイスラムであっても

根っこは同じ人間なんだということを思う。



特に興味深かったのが

物乞いから逆に募金を受けた話だった。



バザールで出会った乞食。

あまりに堂々と金銭を要求する乞食に対し

腹が立った中村が

自分の活動のことを説明すると

乞食は躊躇することなく

自分が集めた小銭を施してくれたという。



日本では考えられないようなエピソードで

「彼らは金銭的には貧しくても心は貧しくない」

と中村は言う。



海外支援の自己満足性と徹底的に戦い

地域に根ざした活動を続けた中村。

活動を知るだに、

現実と向き合うことの

行動を起こすことの

重要性を痛感する。



「人が守らねばならぬものはそう多くはない。

 そして人間の希望は

  観念の中で捏造できるものではない。」
という言葉が印象的だった。



本をプレゼントしてくれた人の言う通り

血は智となり私の心に還元されたのだった。


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