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初物


早朝、定山渓の奥。

雪虫(トドネオオワタムシ)が

飛ぶようになったと思っていたら、

山の上は既に

うっすらとした初雪に覆われていた。





今がまさに盛りの紅葉の

発色の勢いが止まらず、

過ぎた化粧を恥ずかしげに

山神が白粉で抑えたようだ。

しっとりした装いと同調したように

音は静かで、

かすかなせせらぎの音が

耳を洗う。



雨混じりの雪が

明け方の冷え込みで一気に凍ったのか。

大きく開いた花が、

寒さに身を縮める暇もなく

そのまま凍りついていた。


花にとって、

種を結んで散り落ちるのが本望か、

最も美しい姿を留めて凍りついたままが幸せか。

そんなことを考えているうちに

日が高く昇り、

雪は溶け、

山はゆっくりと普段の呼吸を取り戻し、

見慣れた姿に戻っていった。




ここが深い雪に閉ざされ、

白一色の世界になるのも

もうすぐだ。




翌日は初雪だった。

今年一頭目の恵みを

山神からいただいた。


血を抜き、

山の中で解体し、

大きな肉の塊りに捌いていく。

狩った肉を入れる為専用の

伸縮性の高い布袋に

骨付きの肉を入れる。

そしてそれを背負う。


重い。

とてつもなく。

一体何キロあるのだろうか。

大したことのないはずの山道が、

いくら歩いても車に着かない。

しかしどんなことにも終わりはくる。

無事、歩き切った。


辛かろうが、

自分の肉体を

正しい目的の為に使役し、

やり遂げる。

そうして持ち帰った肉が、

自分の血肉となり、

また次の獲物を狩る力をくれる。



生きてやる。



この鹿の分も。

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