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ばくりっこ




「ばくりっこ」



北海道の言葉で「交換する」という意味だ。



便利になったもので、

現代のばくりっこはネット上で簡単に成立する。



SNS上で物々交換の呼びかけがあり、

以前作った鹿の頭骨標本と引き換えに

精肉所から送られて来たのは

「イノシシの半身」。



ダンボールを開梱して驚いた。

文字通り、イノシシの体が真っ二つになっている。

毛皮もついたままだ。






すごい迫力。

私にはできない手法の解体だ。



重量は15キロ。

到底食べきれない。



そこで、

ジビエを勉強したい、というシェフの元に持ち込む。



毛皮を剥いだことはない、という彼に

手ほどきしながら丁寧にナイフを入れていく。



どこの骨にどんな方向に肉がついていて、

どのように精肉していくのかを教える。



これもまた猟育だ。






シェフの顔が見える

小規模レストランの場合、

シェフとの会話を楽しみに通う客も

多いのではないだろうか。



会話は当然、

調理方法や味付け、

どんな手間をかけたかなど、

料理にまつわる話が多い。



彼らは料理そのものだけでなく、

料理に関するストーリーも提供しているのだ。



さらにそこに

メインディッシュとなる肉の素性を語れたらどうだろう。



その動物がどんな所でどのように生きてきたのか。



よりリアルに、肉が生きていたことを感じてもらえれば、

客が料理を口にする時の

感謝の度合いも深まるのではないだろうか。

また、シェフにとっても

会話によってファンがついてくれれば

言うことなしだ。



命を食す、ということを肌で感じるのに

色々なステージがあるかと思うが、

いきなり狩猟に同行し

目の前で鹿が倒れることを見るのはハードルが高い。



料理人はまさに、そのきっかけを作る人。

料理だけでなく、

料理人にしかできないことがたくさんあるはずだ。



きちんと肉のことを語れる料理人が

もっと増えてくれることを願っている。



シェフはそのうち猟にも同行したいという。

私も楽しみだ。



猟育は続く。



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